ジェノバの宵闇 11月9日夕刻 


 イタリア国鉄の普通ローカル列車を2つ乗り継いだ汽車の旅は、18時を過ぎ、ジェノバ・ブリニョレGenovaBriniore駅に到着した。
 かなり小さいさっぱりした駅を出ると、それまでと違う新鮮な、海の空気がさしこんだ。



外はすっかり暗くなっていた。 まず駅前の数件ある少し高そうなホテルを当たろうとした。が、条件が手ごろでなく、
しかも降りた駅は、ホテル街のある「プリンチペ」でなく、1つ前「ブリニョレ」で下車してしまった。
降りてかれこれ約45分経っていた。ここまでフィレンツェから各駅で25∈(ユーロ)+27∈だったのに、
運賃はひと駅で5∈即ち、650円が掛かってしまった。

 ジェノバ・プリチペ( Principe 王子)は小さいけど大理石造りで美しい駅だ。市街観光の中心より西の
その駅から、歩いておよそ10分付近に、てごろな80∈(ユーロ)ぐらいのホテルが位置していた。
 駅前からまっすぐ通りを歩いた。案内で目当をつけたHotel Europea(約50室・70∈ユーロ〜)は、宵闇に隠れて
見つからず、駅前にもどった。駅のまん前に地味な看板の HotelD'Aquilla(60∈ユーロ)にチェックインした。
時刻は8時過ぎであった。 さっき通った路地裏で、華人の経営する食料品店で、残ったバナナとオレンジを買う。
 これが今夜の夕食兼デザートとなる。 (11月9日ジェノバ、1泊め)



 雨風まじりのジェノバ 2日め 11月10日



 ジェノバの属するリグーリア(Liguria)地方は、数日は雨が降る。アリタリア航空が全面的に
ストライキに入り、当分飛ばないだろう、などと、夜テレビのニュースは語っていた。 
 昨日の夕刻、終着した駅の案内所に教わったとおり、イタリア国鉄のゼネストのため午前中は列車が動かない。
 次なる目的地サン・レモへ行くには、12時半過ぎ発の特急1本しかない。
 そこで本日は朝8時に向かいの駅に赴き、サン・レモ行き12時半頃発の往復切符を購入した。



 このあと、12時に列車が出るまで、午前中をどこですごすか、課題ができた。

 時期は晩秋の11月。しかも、公共の博物館、美術館などが全て休みの月曜日だ。

 来るまで気にもしなかったが、11月のヨーロッパは全体にストライキの季節で、
フェスティバル開催どころか文化行事もお祝いも返上する闘争の時期なのだ。

労働側の代表が経営側との交渉を通して、ひたすら自分たちの生存権と生活権とをかけ、
文化的生活を確保すべく、団結し旅行者なんかにお構いなしでストライキを打つ季節。

 おりしも北イタリアは、ようやく寒さを感じ始めた、この時節の小雨だった。

 ジェノバ市内の目抜きどおりにある赤の宮殿、白の宮殿、市立美術館など、博物館は月曜で全て休館。
こうなると予想はしたが完璧にお手上げ。 街の見物に切り替えて、裏路地を訪れた。
ジェノバは、ここまでのイタリアとは違って、目立つような大きな店や看板がない。

 しかし大通りから離れて2つ、3つはいっていくと、以外なところに高級品店があり、静かに手頃な値段でも
飾っていたりする。小さなパン屋で死ぬほど旨いイタリア煎餅(なんと言ったか忘れた)1枚10centのを「束で買え」
と怒られたりしたが、勉強になる。 そばの屋台でちょっと旧くなったCDやビデオを安売り(3ユーロ〜)していた。

 すぐそこが魚くさい港であるけれど、いよいよ都会らしくなってきた。



 旧港の水族館で景色を眺め、さっき買ったパンと驚愕の美味いイタリア煎餅(名前はあったが忘れた)
で軽く食べたあと、海沿いに歩いてPrincipe駅前に戻った。

 港には小さな植物園、国際展示場、海洋航海博物館などもあり、時節が許せば是非観たかった。

 海沿いに細長いジェノバのまちには、豊富なバス便、なんと地下鉄が2路線も通っていた。
 これは、よるにサン・レモから帰ってきたあとで海岸沿いを散歩してわかったのだが。

 サン・レモへ

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